浮世絵に魅了され「日本に行きたい」と強く願っていたゴッホは、 アルルの果樹園の一隅でこのアーモンドの木を見つけ、多くのスケッチを残します。
バラ科・サクラ属・のアーモンドは日本画に出てくる梅や桜の“枝ぶり”を連想させ、 ゴッホはこのアーモンドに「憧れの日本の香り」を嗅ぎとったのかもしれません。
最愛の弟テオに子供が産まれたことを祝し、ゴッホは喜びを込めてこの絵を描き、贈りました。 それはオーベールで自死してしまうわずか半年前のことでした。
生前に売れた絵がたった一枚
▼この絵には素敵なストーリーがあります。 今でこそ世界的人気画家になっているゴッホですが、生前に売れた絵がたった一枚だったというのはあまりにも有名な話です。
画家としての活動は10年だけ。その間におよそ2000点もの作品を生み出します。その尋常ではないエネルギーは、観るものの心をつかんで離しません。 |
ゴッホの作家活動は弟のテオによって支えられます。テオは自分の息子に尊敬する兄の名を付けます。
そのことをとても喜んだゴッホは、自分と同じ名を持つ甥のために一枚の絵を描きました。それが本作品です。
半年後▼この作品を描いたわずか半年後、ゴッホは自らの命を絶ってしまいます。
さらにその半年後、今度はテオも兄の後を追うように亡くなってしまいます。
テオの妻ヨハンナは息子ヴィンセントにこの作品を通じ、父(テオ)と叔父(ゴッホ)の果たせなかった夢を託します。そして叔父の名と父の意思を引き継いだヴィンセントはゴッホの絵を広めるため、生涯をかけて活動してゆくのです。
ゴッホ美術館▼それからオランダ政府の援助の元「ゴッホ美術館」が完成。本作品も所蔵されます。それはゴッホとテオが亡くなってから83年後のことでした。
「花咲くアーモンドの小枝」はゴッホの意思を受け継いだ家族の結束の象徴なのかもしれません。 |